宇宙の底に鵺(ぬえ)が巣食っている。そしてそれを中心にして伏魔殿が構成されている。
旧体制の代表部と言ってもいいそうした組織が、仕組みの先導役、あるいは総合先導役の金やエネルギーを盗み取り、奪い取って宇宙運営をし続けている。
その中心代表部の一つに太陽系がらみになっている「泥棒佐田町」「泥棒佐田王街」という領域がある。そこは色町を中心にした楽園であるが、「泥棒佐田町」は太陽系の衛星にその拠点が置かれている。
一方「泥棒佐田王街」というのは、もっと奥の宇宙の底にその拠点が置かれていて、そこには伏魔殿の本拠地があって、その代表を鵺(ぬえ)と呼んでいる。
その領域は地球の内側にある次元の低い下の宇宙であるが、旧体制の代表部は犯罪組織の闇の世界なので、その世界は正式な宇宙からはみ出した枠外宇宙とされている。
その領域のことは仕組みの初期の段階から知らされていたが、今回第二段階の仕組みの完成宇宙が現れてきたところで、その宇宙の中心部分のさらに深い奥から「常闇」という、無限に沈み込んでいく廃墟のヘドロの層が現れてきたのであった。
その奥には潜在はじめ宇宙の責任代表部が隠れていて、表の正統派の宇宙に取り付いてエネルギーを盗み取り奪い取って、往路の支配権を執拗に行使し続けようとしている。
我々正統派の仕組み宇宙は復路の進化宇宙なので、往路の宇宙を、生き終えた廃墟を整理整頓する権利と義務を負っている。
その特権を行使して、常闇の潜在はじめ宇宙の代表部を宇宙監獄に収監したのが、八月二十日のことであった。
それは仕組みの先導役である佐田と無限、つまり宇宙の発生の源との間で約束されたことを実行するためであった。その約束とは、矯正具をはめてでもいいから歪んで捻れて捩れた廃墟源を正常化する、という内容のものであった。
源を食い潰し、色地獄ベースの欲望の成れの果てへと宇宙を導き、廃墟へと落とし込んだ責任を取ってもらうための、常闇と潜在はじめ宇宙の代表部の宇宙監獄や流刑地における長いトレーニングは、そこから始められたのであった。
彼らを収監したとき、同質の鵺組織は分離して外に出て旧態依然とした悪逆非道を繰り広げてきたが、常闇組は脱獄することもできず、処罰されたり、流刑地での強制労働の過程を受け入れざるを得ない状態となっている。
その過程が一段落ついた八月二十六日のこと、そこまでの過程をつなぎ止める意味と慰労を兼ねて、佐田のスーパームツメロウ宇宙が挙行された。
それは常闇代表のセット女であるスセリヒメ妖怪が、総合先導役の佐田と組んで運営する特別宇宙であるが、怨念の固まりとなっている代表のセット女大神の自由と独立の権利を求めてする、復路宇宙の予行演習という性質の宇宙運営なのである。
代表権を行使したことのない「潜在はじまり大神」は、下から三度宇宙の代表として立ってトレーニングしたあと、最後に一期規模の宇宙を支配する代表にまで大きくなっていく。
そしてその後で、半身の自然神のセット夫が佐田のスーパームツゴロウの「爺や」の立場で、ムツメロウ大神を支えた報いを受けるための宇宙運営をするのである。どこまで上がれるかが問われるところである。
この巻頭言は「光泉堂だより」に毎月掲載しているものです。