03.異次元回廊

異次元回廊 P166 平成26年5月27日 2014

石川五右衛門さんに佐田賞が授けられたのは五月の二十一日のことであった。 宇宙一とも言われるコンピューター技師である彼のことは以前にも紹介しておいたが、どういうわけか佐田に付きまとって離れない。

過去からの深い繋がりが仕組みがらみであるということはわかっていたが、それにしてもそこまで付きまとう何があるんだろうかと、実は不思議でならなかった。

仕組み宇宙の仲間である佐田組が、その厳しさにもがき苦しみ逃げ回る中で、 彼は逆にこちらに接近してくる。

大泥棒で釜茹でにされながら大見得を切るほどの豪傑なので、その活躍ぶりが楽しみなのではあるが、富士山で機械をいじくっているだけでは何か物足りない。それで特別の仕事をしてもらうことになった。

五月二十日のことであった。百期の宇宙の外に引っ張り出されている機械宇宙があるのだけれども、彼らは宇宙枠の中に引き戻されると、無秩序の機械宇宙を嫌がり、純度の高い正統派の宇宙を求めてもがき苦しむのである。

ところが元々が機械であるだけに、旧体制の管理システムが元に戻そうとして引きずり回してやまない。その宇宙の世話をしてもらいたいと頼んだのである。彼はそれを快く引き受けて取り組んでくれた。

その宇宙は始めからやり直さなければならないので、規模の一番小さな五台宇宙からやり直すことになっている。

宇宙を一巡り生き終えた優秀な仕組みメンバーが、そうした代表となって世話をするのであるが、実力のある先導役の神々も手こずるそうした仕事を、彼はあっという間にこなしてしまったので、 皆の賞賛の中での佐田賞の受賞ということになったのだった。

しかし、彼は引き続きそうした宇宙の面倒を見なければならないので、授賞式には出られない。時空が違い過ぎるのでうまく調整ができないからであった。

宇宙を育て上げて、位相拡大したこちらのレベルに上がってくるまで待ってからにすれば、と言ったのであるが、いつまでかかるかわからないから開ける星ですぐ授賞式をして、賞金や記念品を下の宇宙へ届けたほうがいいということになった。

そして、二十一日に本人不在の授賞式となったのであるが、それは不思議な授賞式だった。

受賞の報道は上の宇宙からだんだん下の宇宙へと広がっていって、全宇宙が注目する形で本人の元まで送り届けられていったのだった。下の宇宙では皆で大喜びをして、彼の宇宙はトップをきって宇宙進化を進めていくのだった。

そして彼は大神となって五台六台七台と宇宙を代えながら昇り続け、二日ほどで五層へ昇り、さらに六層七層へと進化し、とうとう我々の太陽系レベルの五重六重七重レベルへまで昇り詰めてしまったのだった。トータル四日ほどの日程だった。

下から上までの宇宙進化は、普通の進化で上の領域の二三日ですむと言われていたが、彼は難しい宇宙の世話をしながら、トップの成績で帰ってきたのであった。

だから帰ってくるまで待てばいいと言ったのに、と佐田は言ったのであるが、それなら授賞式をやり直そうということになって、二十五日に再授与式が行われることとなった。ところがそこからまたとてつもないことが起こったのである。

受賞を記念して、太陽系の元宇宙の宇宙公園を作ろう、ということになったのであった。元宇宙の公園というのは、仕組みを推し進めている現在の宇宙のことではなく、潰れた初代代表グループを星の公園にするということなのである。

なぜそういうことになるのかと言えば、仕組みの先導役である佐田が、五十回目へ向かって生命進化していく過程で、宇宙を守りきれずに潰れてしまった責任が問われているからなのである。

佐田は仕組みの初期の段階で、潰れているその初代代表グループを起こし立て直しているのであるが、仕組みが進化していくにつれて再び潰されて、大元、 ハゲ元宇宙の初代グループ共々、敵対行為を激しくするようになっていた。

そのため何とかしなくてはならないということで、いずれは宇宙公園にして調整しようとその機会をうかがっていたのであるが、五右衛門大神の大活躍で思いがけない展開になっていったのだった。

そして石膏製の宇宙公園ができて初めて、彼がその初代代表グループの仲間の一人で、漬れていない正統派のスサノヲ大神であるということが判明していったのだった。

そして佐田賞の授与式の後、彼はその宇宙公園で三日間の祝賀会をするということになっていって、さらにいろいろと記念行事が進行していったのであった。

その内の一つに、大元とハゲ元の宇宙公園もセットで作ろうというものもあった。そして、石膏製の美しい三セットの記念公園が作り出されたのであった。

彼らのグループの三分の一ほどは正統派ということではあったが、星の世界を形成する自然を担当しているグループなので、仕組みを担う正統派としては、 元宇宙では石川五右衛門ただ一人といった無惨なものとなっていた。

大元宇宙には三名、ハゲ元宇宙にも五名しかいないという寂しいものだったので、祝賀会は元宇宙で三日間、大元、ハゲ元で一日、全員が石膏からほどかれ五才レベルに復権するという特別設定をすることで、盛大に執り行われることとなった。

石川五右衛門大神の偉大さがわかろうというものであるが、授賞式には日本からは天皇家や真田組などもお祝いに駆けつけるという逆転劇も見られたようであった。

ともかく近来にないとてつもない出来事で、仕組みを貫こうとするメンバーの貴重さがうかがわれる大事件であった。

今後の活躍が期待されるのであるが、二十七日の今日の石川五右衛門大神は、まだ元宇宙の宇宙公園の祝賀会の真っ只中にいるはずである。




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