廃墟が奥まっていく流れになっているが、進行速度が速過ぎて、伏魔殿のボロが出てしまった。当初廃墟の過去は五十層とか、五百、五千から五千億層もあるなどと恐れられていた。
そこまで到達するのにどれだけの時間と労力が必要なのかを思うと、 溜息が出るほどの距離に思われたからである。
ところがいざ蓋を開けてみると、その数字はまるでまがい物であるかのように薄れて行ったのである。
どういうことかと言うと、仕組みの拡大速度が大き過ぎて、あっという間にその距離が縮んでいったということなのである。
我々が知らされていた廃墟は、時空の拡大の象徴のような数字で、そこにはトリックのような変容の現実があったのである。
往路の廃墟宇宙は単位の小さなものが無限に広がっている宇宙である。
それに対して我々の復路の仕組み宇宙は、基本形の大河宇宙一つにまとめて拡大していく形のもので、廃墟の往路宇宙をどんどん飲み込んでいくため、拡大していく廃墟層の意味が消えてしまう展開となっていったのである。
廃墟の層は五千億から五千無量大数層へとあっという間に奥まっていった。空間軸が広がると時間軸も長くなり奥まっていく。廃墟の小さな宇宙はその拡大についてこれなくなって、逆に廃墟の層を大河宇宙に消されてしまったのである。つまり大河宇宙にとって無限に広がっていく廃墟の層は、最初の廃墟とその外に垂れ流しになって
いく外領域の廃墟だけで事足りるようになってしまったのであった。
それは永遠の時間と無限の空間の数字のトリックとでもいうようなものであった。 往路の廃墟の小さな宇宙世界の時空では、想像もつかない現実がそこにはあったのである。