月例会で五回目の仕組み宇宙の話をしたあと、明くる日から劇的な変化が巻き起こった。五回目の仕組み宇宙が進み始め、それが次第に大きな流れになって進んで行くとばかり思わされていたが、突然逆転現象が巻き起こったのであった。
どういうことであるかと言えば、前向きに進むのが仕組みであると考えられてきたものが、大きな間違いであるということが判明したのであった。そしてそこからの展開がものすごいことになっていったのであった。
かなり前から何回目まで行くことになるのだろうか、などとの観測もささやかれていて、十回目まで行くことになるのではないかなどと、あきらめ調で語られていたりしたものだった。
ところが五回目の宇宙運営は難儀を極めていき、何かがおかしいと思われ始めたのであった。それからいろいろ手探りが続けられていったのであるが、なかなかいい案が思い浮かばないのだった。
仕組み側の正統派も伏魔殿側の魔的なメンバーもみんな、ほとほと現状の廃墟宇宙の繰り返しが嫌になっており、耐え難い思いをつのらせていったのだった。いつまでたっても終わらない馬鹿げた宇宙にうんざりしていたのである。
往路で間違えた宇宙も既に何度も完成させられており、あとは発生の源へ帰ることだけが急がれていたのであるが、行っても行っても行き着かない。そのことにみんなが疲れ果て、嫌気がさしていたのである。
何がきっかけだったのか今でははっきりしなくなっているが、これ以上行っても仕方がないから帰ろうよ、ということになったのである。以前から行き過ぎた場合は引き返すという設定があることはあった。
そのことが思い出されたのであるが、まさかこんな大きな仕組みの進行を取りやめて、引き返すなどということなど考えられもしなかったのである。その提案でみんなは色めき立った。
そして総合先導役がその指示を出すとともに、一気に流れが逆転していったのである。それはそれは見事な出来事であった。もっともそこには機械遊びをやりたがっていた伏魔殿の無源の意思があり、その意志がある限りはそれに従うしかない展開ではあったのである。
ところがその意志もかなり以前から行き着かない仕組み遊びに嫌気がさしており、打開策を探していた気配はあった。そのためもあって一気に流れが変わっていったのである。
それからは雪崩を打ったように仕組みが逆転し始めた。帰れるかどうかに関しては、必ずしも明確なものではなかったため、おっかなびっくり進行していったのであるが、
帰ることができて、それがまともなものであるような情報が出されると、もう止めどもない流れにならざるをえなくなっていった。
無源がやめると言えば一気に終わると佐田は以前から言っていたが、そのことが現実のものになろうとし始めたのであった。
とてつもなく広がっていた総合先導役の源は、佐田の同意と共にどんどん縮小し始めた。最初は五回目のメンバーたちが帰り始め、一気に廃墟が消えていった。果てしない廃墟は伏魔殿の無源の遊びでしかなかったのである。
この巻頭文は「光泉堂だより」に毎月掲載しているものです。