ユダヤの悪魔が消滅した。五月の初めのことである。悪魔が消滅したとは言ってもまだ天使は残っているけれども。
どういうことかと言えば、事はイランの元最高指導者ホメイニ師がシュメールのギルガメッシュ王に戻って、冥界の月の大王に復帰したところから始まる。
彼は本来は五の七台中心はじめ宇宙の代表であるが、潰されてイスラム教の管理システムの奴隷となって働かされていた。
その呪縛から放たれた彼は、太古に落とされていた月に戻って、宇宙の代表に復帰するための課題に取り組み始めた。
その最初の仕事が月のサバトにいるユダヤの悪魔を追い払うことだった。
そのことは既に報告済みであるが、そのあとベングリオン・ルシファーを筆頭とする堕天使悪魔たちは、正常化し始めたユダヤの王ダビデやメイア元首相組を追って、佐田の大元の流刑地に押し寄せて来ていた。
月を追われた彼らには住む場所がなくなってしまったからだった。
ダビデ組は悪魔組織から脱出して正常化し始め、今では復路の仕組み宇宙の五・八台レベルまで上昇しているが、悪魔組は堕ちる前の金星に戻ることもできず、生活の場を失ってうろつくしかないのだった。
そうした彼らが哀れなので、総合先導役の佐田はその特権を行使して、彼らに生活の場を提供したのだった。
仕組みが進行してきた現在では、機械製の生命体である天使や天狗、あるいはドラゴンや龍神、
さらには天男天女といった特殊な生き物を、調整領域で保護して生活の場を与え、正常化への道に向かうことができるような配慮がなされている。
ベングリオン組は生活の不安がなくなったことからそこに落ち着いて、様子をうかがうこととなったが、簡単に正常化の道へ向かうわけではなかった。
それもそのはず彼らは悪魔軍団として地球の支配を目指していたからである。
そのチャンスを奪ったダビデグルーブに復讐しようと流刑地にやって来て、最初は五千億ほどの大軍勢で襲い掛かっていたが、
ダビデ組の正常化の意志が固く、その数も最初は五十名ほどであったものが、次第に増え始め、結局は星一つを構成することができる五千億名にまでふくれあがってしまった。
そうなってしまうと悪魔組のほうが腰砕けとなってしまって、次第に数が減っていったのであった。
そして次第に黒い悪魔の色が薄れ始め、白い天使に戻ることになってしまったのだった。
そうなるともう悪魔とも言えなくなり、かといってまともな天使になるわけにもいかず、次第に機械妖怪に変貌し始めたのであった。
機械製の生命体である事実を教えられて正常化する者も出始め、その数も次第に減っていったが、悪魔ユダヤの誇りを捨てきれないベングリオン主役組たちは、その思いを遂げようと懸命に努力し続けていた。
そして、地球人類の機械化が進行して生成AIが登場すると、その流れに乗って伏魔殿組織の奥へ意気揚々と突き進んでいくのだった。悪魔より妖怪のほうが格上だからだという。
この巻頭言は「光泉堂だより」に毎月掲載しているものです。