十一日目は水星。ここは地球の次に設定されている仕組み惑星で、伏魔殿側の予定では二十六年ほどあとのことになる。
総合先導役の立場からはそれがさらに二三年ズレるのであるが、そこらあたりはあちらの仕組み潰しのテクニックによる巧妙な仕掛けだと思われる。
そのことはともかく、正統派の立場から言うと、水星における仕組みの準備は着々と進行しているはずである。
三条正子はそのことの確認をしたいと望んでいたそうで、案内役のお二方もその思いを受け入れての同行だったようである。
最初は熊野のかたに連れられて、代用系の水星に行くことになり、そちらに案内されたが、それは彼女がよく知っている今までの世界であって、仕組み的な要素は感じられなかったとのこと。
明治のかたは中に入ると気持ち悪そうにして、何も言わずについて歩いておられたらしい。自分としてはそちらのほうに親近感があるので、正統派の言う仕組みに対しては、まだ半信半疑のままであったという。