前にも書いたように、スヴィドルガイロフという名前で佐田に絡みついてきたのは、昨年のかなり以前のことであった。
機械に身体を取られてウロウロしている意識か観念、それは演技集団と呼ばれているが、そんな類の表現体の成れの果てたちが、しつこくこちらにそれを絡めてくるのだった。
何のことだかわからないこちらは、めんどうくさいのでそれを「スビドル街路樹」と言っておちょくっていた。小説「罪と罰」に失礼であると思ったからである。
ところがその本体が作家ドストエフスキーの父親であることが判明してからは、敬意を込めて「スビドル街路樹」と呼ばせていただくことにした。
そのほうが本人を特定するのに都合がいいからである。
なぜそのかたがしつこく佐田に絡められているのかについて確認をするためには、ラブクラフトの登場が必要だったということになる。
仕組み潰しの徹底的な操作が仕掛けてあって、それをほどくのに大変な時間と作業が必要だったということになる。
仕組みがここまで拡大して、未来軸に突入しなければ浮いて来ない特別の設定であった。