こちらは仕組みのことでとにかく忙しいので、途切れ途切れにしか対応できなかったけれども、佐田の書物を読ませたりして多少の知識が入った段階で、少しずつ調整がなされていったのだった。
そしてこちらは読んではいないけれども、そちらが書いている世界は北欧神話の埋没神、ノルウェーあたりの沼にうごめく化け物だと思われるが、
とこちらの意見を言うと、彼は夢で見せられたりするその化け物が恐くてたまらないので、それを小説に書いて逃れようとしていた、とのことであった。
それから特訓が始められたのであるが、彼が受け入れてくれたので、富士山の佐田の流刑地に来てもらって、そちらで生活の手段を確保しながらの調整となっていったのだった。
今までの生活の手段は何だったのかと問うと、生前恐ろしくてたまらなかったその仕事を、自分が誰彼に対してやらされているのだという。
それから逃れたいということで、こちらの提案をまず受け入れて、こちらのことを確認してみることになったのだった。
そしてその段階ですぐ無限回帰が五百回ほどなされ、流刑地の一番下の五百段目からの特訓が始められたのであった。令和六年元旦のことであった。