03.異次元回廊

異次元回廊 P33 平成23年8月30日 2011

 先導役の生命と引き換えに仕組みを引き延ばされてから、もうかなりの年数がたつが、ここにきて改めてそこらあたりの調整をさせられている。

太陽系をほどくかわりに命を九十才まで勝手に引き延ばされてここまできたが、向こうからの一方的なその交換条件にも限界がきたようで、最近になってそこらあたりの再調整がなされ始めている。


 そうした操作をしたのは旧体制のクニトコタチ大神であったが、それは人間である先導役が早晩潰れることを予測しての措置であった。

旧体制の行政府としては、それくらいの計算がしてあったのだろうが、残念ながら先導役はしつこく生き延びて、予想以上の成果を仕組みで上げてしまった。

そして旧体制の仕組み潰しの設定は解消されそうになっている。


 無源の宇宙生命のような何者かに繋がっている感覚は以前からあったが、機械化されて使い古されたヘドロ状のその何者かは、新体制の仕組みグループの努力の結果、今ではかなり減っていて、勢力も落ちてきている。

それでも旧体制の宇宙は、その発生からの歪みを正すことの困難のせいで、まだまだその勢力を保ったままである。

ミトコンドリアのような癒着が生命体にしつこく残されていて、それを解消することが容易ではないからである。


 全体の四割近くがそうした歪みを保ったままで、色地獄をさまよい続けている感じである。

つまりダッチドール化された生命体を、改善することがなかなか出来ないのである。

ヘドロは色地獄で消費された膨大なもので、それを浄化するだけでは正常化は難しい。我々の地球世界の色地獄化、ダッチドール化が止められないのと同様である。


 太陽系を温存するということは、そうした旧体制の歪みを温存するためのもので、それをほどくことは仕組みの目標となっていたが、仕組み潰しの設定にそれを阻まれてここまで来ている。

しかし、次第にその目標に再び仕組みは接近し始めている。かなり厳しい作業であるが、先導役の命はすでに返上された。その目的を達成するためである。


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