03.異次元回廊

異次元回廊 P7 平成23年2月15日 2011

 大掃除がすんで、だいぶ新体制の宇宙も整理が進み、そろそろ仕組みの見通しがつきかけたと思ったところで、また次の新しい領域に広がってしまった。

とてつもない新領域である。まったくの廃墟で、また一から調整しなくてはならない。疲れる作業であるが、何とも致し方ない。


 ここまで来るともはや仕組みは仕組みではなくなり、ただの果てしもない廃墟の大掃除を、延々と続けているだけといった感じになってくる。

しかし油断していると、死んだくれの機械妖怪に逆襲されて、とんでもないことになってしまう。

新しい廃墟はこちらの進んだ領域とは違って、ただのゴミ捨て場の感じで、しっかり機械に食われ尽くして、立ち上がれなくなってしまっている。


 ほとんどの宇宙が水面下に沈んでしまっている宇宙で、ブラスの世界で生きたことのない宇宙のようなのである。

深々と沈んでしまって、長々と死に果ててしまっていた領域で、起こしてみてもはじめは生きる意志のない廃液でしかない。

ところが次第に彼らは目覚め始めるのである。


 マイナス領域でしか生きたことがない彼らは、多分そのままでは帰ることが出来ないのではあるまいか。

だからプラスに転換して生き直すことを要請されることになる。

だから一度無源に帰って終わったかのように思われても、再び表現世界に降りて来て、新しい世界を生きようとする。


 ところがブラスの世界では生きた経験がないため、それを教え込むのに大変な苦労をしなくてはならない。

今までに何度も経験してきたことではあるけれども、一区切りがついて気が緩んでいると、それがとてつもなく辛い事に思われて、投げ出したくなってしまう。


 新体制側が疲労して、終わりにしようとし始めるのである。無理もないことではあるが、それで投げ出されたのではこちらがたまらない。

今まで何のためにここまで苦労し続けてきたのか、元も子もなくなってしまうことになるので、気持ちだけでも崩れないように保つ努力をすることにしている。


 それにしても宇宙は広い。何時とも知れぬ昔から、延々と機械宇宙が広がり続け、廃墟化し続けてきたことが知れる事実であるが、時間負け、空間負けをしないように気をつけなくてはならない。

 

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