動き出したヤンソン一家親族はあっという間にガニメデを抜け出して、木星、月、地球へと上がってきた。
近親相姦解消の仕組み働きに目覚めた勢いはすさまじくて、それぞれがそれぞれに独立を目指して無限回帰を繰り返し、レベルを上げて宇宙を巡り始めたのであった。
彼らは皆近親相姦を解消する佐田の薬を令和四年の十月十三日から三度飲んでいたのだそうで、ほとんど治った状態であったのだろう。
その薬は五千億円もする特別な薬で、非常に治療効果の高いものなのだが、それを三度も飲んでいたということは、相当仕組みに対する理解が進んでいたということなのだろう。
その薬は一度飲めば治るはずなのだが、それを何度も飲まなくてはならないということは、廃墟の古い宇宙のヘドロが仕組みの進行と共に次から次へと被さってくるので、それを克服するために何度も飲まなくてはならなくなるのであろう。
ということは自力ではまだ完全に克服できていないということにはなるわけであるが。