十一巡目の一
六月七日(二十四日目)は術界の科学技術領域であったが、危険が多いので佐田の休眠後にしてほしいとのことで、午後十二時三十分出発ということになった。
佐田の別荘でもコンピューターに異常が発生していたし、公共私有地での問題もあったので、慎重に事を進めようとしたのであったが、旧体制の本拠地のような領域であることもあって、正統派も相当神経を使っているようであった。
科学技術の星は術界五つの星の一つであるはずであったが、その領域はたくさんあって、とても一つで収まる範囲ではない。
五つの五十とも言われていたりもしていたので、関連の星ということで、太陽系関連の外の宇宙のものも入っていると思われた。
五つは物質太陽系関連、五十は旧体制のバーチャル星だと思われるが、その背後には五百、五千、五千万、五千億と無限に拡大していく感じがある。
最初の一つは自然にかかわる科学技術領域の見学であったが、ナポレオンとアメリアにバーチャル魔物を送り込んで混乱させてくるので、二人に光の剣を手に掲げて進むようにという指示を出した。
五十名の中の仕組みの戦士三名も同じように仕組みの剣を掲げることにしたが、佐田なしではそういうことはできないとのことだった。
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十一巡目の二
自然に対する科学ということに関しては、二度目の無源回帰の新体制科学でも巡るシステムが導入されていたが、三度目となる新世界でもそれは踏襲されて、さらなる進化を遂げているはずであった。
しかし旧体制科学の反発が大きくて、正統派には完全な自由があるわけでもないようだった。旧体制科学は五千才の宇宙となっていて、その領域は無限そのものに突っ込んでしまう。
新世界科学では五十才宇宙までで、そのあとは自然に巡る展開となるのである。
旧体制が機械で行き詰ってしまっているので、それを打開するための方策として、巡る宇宙に作り変えられているのである。
現在の地球人類科学では、量子コンピューターが作り出されようとしている、そうした情報を見聞きしている。
そのコンピューターは万能とされているようであるが、宇宙科学で言えば五百才までのもので、旧体制の五千才には遠く及ばない。
しかし新世界科学の限度を超えて、旧体制科学に取り込まれていることには変わりがなく、仕組み的には非常に危険なものであると言わなくてはならない。
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十一巡目の三
新世界の科学は地球物質科学を中心にして、星レベルの術界、天王星(幽冥界)、月(冥界、魔神界)ということになるようであるが、旧体制的にはバーチャル宇宙のものが、地球、木星、衛星(月を除く)、彗星へと降りていくようである。
ナポレオンにはバンパイア科学など妖怪科学とか、バーチャル対応室などの魔的な科学に対する関連施設の見学が課題とされていたようで、それら全部を巡り終えて三時半に戻ってきた。
剣を掲げていたこともあってか無事に帰ってきたが、そのあとが大変であった。
アメリアとの関係がおかしくなっていて、その調整がうまくいかないということで、明くる日の六月八日(二十五日目)は大混乱が巻き起こったのだった。
しつこくつきまとって騒ぐので、ナポレオンはアメリアとは一緒に行きたくないと言い出していた。
危険が大きいから残るようにとさとしても、どうしても行くと言ってしがみつこうとするので、四十九日行はナポレオンのものであって、アメリアのものではないということで、やむなく彼女をシシリー島の親元へ帰すことにしたのだった。
コルシカ島のナポレオンの親元へ行って挨拶するとか、四十九日後の結婚式の準備などもあるだろうということで、彼女はやむなく引き下がったのだった。
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十一巡目の四
アメリアを里に帰してもナポレオンの様子がおかしいので、彼の実力を測るため佐田の矯正体を脱がせたところ、暴れまくって佐田を光の剣で切り捨ててきた。
それで彼は落ちて宇宙監獄に入れられたが、その時は彼の生殖器にアーサー王のものがセットされてあったらしく、その影響もあったらしいが、とにかく発狂状態のような訳のわからない暴れ方をするのだった。
その調整をするために彼は佐田の奴隷監獄の流刑地に送られたが、そこでも治まらず、自分にかけられている呪縛の縄を切り捨てようとする。そこでまたアレキサンダーのゴーディアンノットの話になった。
仕組みのもつれた縄をほどく課題で、アレキサンダーはそれをほどかずに剣で切ってしまうが、切ることとほどくことは違うということの解説を改めてしたのだった。だからアレキサンダーは失敗したのだと。
その頃アメリアも親元で狂い回っていて、助けてくれと言う。
同様にナポレオンも助けてくれとわめくので、今回は自分自分でやれと突っぱねたところ、ナポレオンは諦めて自分でやり直し始めたが、八合目までしか戻れなかった。
それでやむなく彼も佐田の九合目の矯正エネルギーを受け入れるしか道がないことを知らされたのだった。そしてアメリアも帰ってきて、改めてのセット調整がなされたのだった。
十一巡目の五
前日の一日はそうして費やされたが、六月九日(とりあえず二十六日目)からは、仕組みやこちらの都合もあって、朝九時出発に変更されての出発であった。
前回は自然関連の科学施設であったが、今回は生命体関連の科学施設で、アンドロイドやサイボーグ、さらにはホムンクルス、つまり人造人間の領域であった。
この件では仕組み担当の女性科学者達が色めきたった。普段は女人禁制だからである。先行組は男のみであったそうで、後続に女性が三十名追加されていた。
さすが『男のダッチドールはいかがですか?』を書いた佐田さんだわと、彼女達は喜んだ。監視役の五千億名ほどのメンバーも連れ立って巡ったようであった。
アンドロイド三十分、サイボーグ二十五分、ホムンクルス六十分ほどといった視察であったが、旧体制領域に引き込まれそうになったということで、休眠中の佐田が起こされて調整しなくてはならなかった。
それ以上は無理ということで一度帰ることになったが、帰った者達には旧体制側からのエネルギー攻撃がなされた。
秘密を覗き見た者に対する懲罰ということらしく、それとの戦いを克服しなくてはならなかった。
そしてその日は午前中のそこまでで中止となり、ナポレオンとアメリアはつぬぶて山、残りの中国三か所、四国二か所を巡って親交を深めていったのだった。
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十一巡目の六
六月十日(二十七日目)は術界の科学分野の三回目で、外されていたアメリアも同行していた。この日は人造人間の健康管理研究施設巡り、それと管理システム関連施設の見学で費やされた。
危険が大きいので仕組みの戦士達が剣を掲げて進行していったが、妖怪や化け物族がわんさと出てきて騒ぎ立てたため、仕組みの戦士達との戦いとなっていった。
そうして皆に守られながら見学は続き、健康管理分野は気持ちが悪くなって十一時四十五分に終わり、管理システムの五百種類ほどの施設は十二時から十四時五十五分まで、そして十五時十分に全てを終了して帰還してきたのだった。
一方総合先導役の佐田の公共私有地は突貫工事が続いていたが、ナポレオンたちはあまり働かないので評判が悪かった。
仕組みの戦士候補としての働きを期待して、佐田が雇う形にしてあったが、そちらのほうの仕事はそれなりにしていたようであるが、二人の中の魔物がのさばるせいか、何かにつけて折り合いが悪く、問題ばかり起こしているようなところがあった。
下働きなどしていられるか、といった態度だったからであろう。佐田が優遇するので、そこらにも問題があるのかもしれない。
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十一巡目の七
六月十一日(二十八日目)、この日は太陽神界へ朝九時に五十名で出かけていった。お出迎えのあとはお茶飲み会を一時間ほどすることになっていた。
開ける星のメンバーやほかの宇宙からもたくさんのお客があるとのことであった。
仕組みの中心となっている恒星の太陽なので、それほど大きな問題もなく終えられるかに思われた。ところが逆にそこから大混乱が始まったのであった。
仕組みの流れとしては最悪の女ヘドロの大洪水が襲ってきたのである。
最近は男がまともに働かなくなっていて、女や子供の陰に隠れるので、どうしても女の勢いが強くなってしまう。
そのあおりもあって今回のものは今までで最大級のものとなって押し寄せてきたのである。ナポレオン狙いもあるように思われるが、あまりにもひどいので四十九日行はそこで中止となった。
帰ってきてからの混乱ぶりはすさまじいものだった。
ナポレオンばかりではなく、アメリアもこちらの言うことを聞かなくなってしまったので、とりあえず二人との縁をすべて切ることにするしかなかった。
そしてナポレオンはバンパイアの元へ、アメリアはマフィアの親元へと帰っていったのだった。
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