二巡目の一
ナポレオンがバンパイアの組織に所属していたのは事実らしく、今回そこから脱出するにあたっては、それなりの工作をして佐田に繋がることで、正式な退会にこぎつけようとしたのだと思われた。
簡単に出られたようにこちらには思われたのであるが、逃亡者への追っ手のすさまじさは、伏魔殿の背後に広がっている旧体制の宇宙組織そのものの一機関といった感じであった。
仕組みの総合先導役として常に伏魔殿の代表組織と戦い続けてきたこちらを警戒して、まともな形での攻撃をしてくることはないけれども、見えない領域からの特殊な妨害は、旧体制の表の代表部に直結している陰の組織そのものであった。
月で地獄の世界を見てきたナポレオンは、自分がいたバンパイア界と同レベルの世界だと感じたらしく、あまり驚いているようには思えなかった。ただそこには魔神界への入り口があることに興味がわいたようなことを言っていた。
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二巡目の二
月から帰ってきたナポレオンにゆっくり対応しようと思っていたのであるが、寝ている間に無限のエッセンスヘドロらしい透明なエネルギーに取り巻かれていて、こちらも身動きできない感覚となっている。
そういうことにこちらは慣れているので恐れはないのであるが、それは今までにはない感じのもので、対応してきたナポレオンは慌てふためいている。
これからどうすればいいのかと聞くので、そちらの導師に従って四十九日行を続ければいい。そう言ったのであるが、ナポレオンが佐田の指示がほしいらしく、こちらに問いかけてくる。
日本には来たことがないとのことなので、一度富士神界に来ておくようにということは以前に言ってあったので、その手配をすることになった。
ところがたったそれだけの動きに対して、周辺の騒ぎが大変であった。かって英雄に期待をかけていた者達が、あちらからもこちらからも富士山にやってきて、ナポレオンを取り囲むのだった。
そこにはバンパイアや伏魔殿の組織のもどきたちも混じっているらしく、どこに落ち着けばいいのかわからなくなるような混乱ぶりだった。
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二巡目の三
ヒットラーとかワーグナー、あるいはロマン・ローランといった壮々たるメンバー達が五千億名も集まってきたため、どうしていいのかわからなくなった富士山で、四十九日行の導師がナポレオンは岡田以蔵大神に会いたがっていると伝えてきたので、そのことの手配をすることになった。
仕組みの戦士として名高い岡田以蔵大神に対するあこがれがあるらしいのである。
赤城山へ行けば会えるけれども、しかしそこは処刑場だと言うと驚いて、それでは困るとのことだったので、富士山に来てもらうことになった。
富士山にも処刑場があり、そこに赤城山の支局があるとのことだったので、そちらに来てもらうことになった。
もどきを含む取り巻きたちの整理もしなければならないので、最初は佐田の別荘がある忍野の浅間神社で調整しようとしたのであるが、御殿場に富士山の処刑場があるということだったので、そちらの浅間神社に行ってもらうことになった。
そしてそこで一大ドラマが展開されたのだった。富士山の処刑場は体制側のものらしく、六台アーサー王はじめ宇宙の仕組みの戦士総代の地位がある岡田以蔵大神が来るということで大騒ぎになったのであった。
伏魔殿側の地球の総帥である佐郷屋がやって来て対決したため、以蔵大神の仕組みの剣が一閃されたのだった。そして五百ほどの首がはね飛んだ。
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二巡目の四
取り巻き達が払い除けられた浅間神社で、武人同士の会談がなされた。マッターホルンにも処刑場があるということとか、ピレネーにも仕組みの戦士達がいるという話になった。
そしてせっかくそうした会談が行われるのであれば、仕組みの戦士の世界会合をこの機会にやろうということになり、あちこちから戦士達が集まってきたのだった。
なにせナポレオンは武術のことにしか興味がないらしく、四十九日行でも行く先々で武術のトレーニングばかりをしている。
いったい彼は何を求めているのだろうか、とこちらも気になっていろいろと確かめるのだけれども、なかなかその本心がわからない。
秘めているのか、本人にも真相がわからないのか、アレキサンダーが意識されていることは確かなのではあろうが、どうもそれだけではない感じもする。
彼はサーベルを常備していたが、岡田以蔵大神の仕組みの剣には歯が立たないことの確認がなされると、仕組みの剣の一振りが貸し出されることになっていった。
しかし彼の感覚には処刑場の地位に対する思いはないとのだった。そしてピレネーに帰っていった。
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二巡目の五
ピレネーに帰ったナポレオンは、仕組みの剣を使いこなそうとするのだけれども、重くて持ちきれないらしい。
仕組みの剣を使いこなすためには、仕組みを理解しなければ無理なので、佐田の著書を読むようにと勧めたのであるが、なかなか読もうとはしない。
何度もそういうことが繰り返されたあと、彼は日本語は話せても字が読めないということがわかっていったのだった。
そしてそれは日本語ばかりではなく、フランス語の文章も読めない文盲だったのである。
何度も無限回帰をしてきた彼なら、仕組み語である日本語の読み書きなどできていなくてはならない。ちょっと信じられないことであったけれども、何かが変なのである。
書類などは周りの者に扱わせれば何とかなるので、生前はそこらあたりうまく按配していたらしい。しかしそれでは仕組みに対する理解を深めることができない。
少し勉強すればそれほど難しいことではないと思われるのであるが、彼はそれを拒絶するのである。必要ないと考えているらしい。
無理にそこらあたりを突っ込むと怒り出して始末に負えないので、結局うやむやにされてしまうとのことだった。
導師方も怒る彼におびえてしまって、結局は彼の意向に従うしかないということになっているようであった。
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二巡目の六
どういうわけかこちらの仕事にさわりが出るほどナポレオンがからみついてきて、四十九日行の次の行き先の確認までこちらに問いかけてくる。
導師がいるにもかかわらず、こちらに道先案内を要求してくるのである。導師に確認するとこちらの言うことを聞かないので、必要なものの調整ができればそれでもいいとのこと。
そういう訳なので、導師と相談しながら次の行程を決めていく形が出来上がってしまったのだった。
そういうことになるとこちらとしてもそれなりに仕組みの課題に対しての指導をしなければならなくなる。
そのためには佐田の著書を読んでもらうほうが簡単だし、理解も深まり、こちらの時間も節約できる。だからその手ほどきをしてもらうために、伊達政宗大神にその仕事を引き受けてもらうことになった。
日本の調整をするためには世界に出ることも必要だからと説得して、ピレネーに行ってもらったのであるが、ナポレオンは紹介が終わるとすぐに剣術の試合の要求をするのだった。
伊達政宗公も武将なので喜んで引き受けてお立会いとなったわけであるが、政宗公が勝って佐田の著書の読書を共にすることになった。
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二巡目の七
図書室にこもる形で始められたが、何か都合が悪いらしく、あちこちに移動しながら変な指導をしておられる。読書するのではなく、ひらがなを教えておられるのである。
その時にやっとナポレオンが本物の文盲であることの確認ができたのだった。それまでは巧妙に隠されていたので、なぜ読書を嫌うのかわからないのだった。
伊達政宗公にそんなことをさせたのでは恐れ多いので、すぐ中止してもらったのであるが、身体の空いた政宗公に待ち構えていたようなお誘いがかかった。
驚いたことにポーランドのバンパイアの元祖花の王女であった。彼女は政宗公をポーランドのお城に連れていった。
そして読書をそっちのけにして若返りの方法を知りたがったため、お鉢がこちらに戻ってきてしまったのだった。
政宗公には申し訳ないことであったが、世界を経験していただくことも必要であるということで、お引取りいただいた。
王女はどうすればナポレオンのように若返ることができるのかと聞いてきたので、そんなことは無限回帰すれば簡単にできることです。
そう教えるとさっそくやってみるということで、墓場へ降りて無限回帰していったのだった。そして五才ほどのかわいい女の子になって帰ってきた。
やり直しの人生が必要だと思われたが、彼女はそんな悠長なことをやっているわけにはいかなかったらしく、騒ぎ立てて元のバンパイアに戻ってしまってケリとなった。