15.始皇帝と金期気

始皇帝と金期気(きんごき) 14

富士山での出来事は、金期気さんにとっていかばかりのものであったことだろう。

歓喜にあふれて踊り出したいほどのものであったとのこと。

 

しかし泣かされてばかりいた彼女の思いは果てしもなく重くて、それだけですべてが解消されたわけでもないことが、次第に明らかになっていくことになるようである。

ここらあたりまでくると、金期気さんと言うのがめんどうくさくなってきて、金柑(きんかん)と呼ぶことにした。佐田のつけたあだ名である。

 

ついでにセット夫の始皇帝も金玉と呼ぶことにした。ちょうどいい加減だという周りの評価であった。

中国屈指の大英雄に対して申し訳ないことかもしれないが、仕組み的にはその程度のものでしかないので、親しみを込めてこれからはここでもそう呼ばせていただくことにしよう。

そうした扱いをしたところ、金柑は腹を立てたのか、木星に落ちていった。

 

二合目まで落ちたところで元の月の鬼子母神に戻っていったのであるが、それでも止まらずにどんどん落ちていった。

そしてガニメデまで落ちたところでやっとどうすればいいのかと聞いてきたので、そのまま脱落コースへ行けば二万段階で逆巡り魔神界コースに入れるので、そちらに行きなさい、と告げたのだった。

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